「発酵」と「腐敗」の違いって？

人間が決める腐敗と発酵の違い

微生物によって食品が変化することを、腐敗や発酵という言葉で表します。
どちらもなんとなく同じような気もしますが違う過程のような気もします。
なんとなく違いがあるようでないような二つの言葉が腐敗と発酵なのです。

実をいうと、プロセスという面から見ると二つの間にはなんら違いがありません。
違いがあるところというと、それが人間にとって好ましいものかそうでないかということになります。
人間が望む目的のために進む過程のことを発酵と呼んでいて、食品が食べられなくなるという、人間にとって好ましくないプロセスのことを腐敗と呼んでいるのです。

そのため、腐敗と発酵の間には基本的な違いはなく、そのもたらす結果によって呼び方が違くなるというだけのことです。

腐敗や発酵には酵素が関係している

腐敗や発酵というプロセスは、ある物質が他の物質に変化するという流れになります。
その変化をもたらすのが、酵素と呼ばれるものです。
酵素は多くの物質に含まれているものですが、特定の物質と結びつきやすく、それを他の形に変えるという働きをしています。

人間はこの酵素の働きを上手に活用して、様々な発酵食品を作り出しています。
酢や納豆、キムチ、ヨーグルトなど、毎日の食卓に乗るものの多くが発酵食品です。
味を良くするというだけでなく、人間の体に良いたくさんの栄養素を発酵というプロセスによって作り出すことができますので、欠かせない工程と言えるでしょう。

日本は特に世界の中で見ても発酵食品の種類が多く、日常的に食べています。
野菜をよく摂る、魚などの良質なたんぱく質を豊富に食べているということもありますが、発酵食品の摂取量が多いというのも、日本人の健康に大きく寄与しているのは間違いありません。
意識して発酵食品を摂るようにしたいものです。

微生物の働きによって腐敗と発酵がなされる

そもそも発酵や腐敗をもたらす酵素は微生物が作り出すものです。
具体的には、キムチやヨーグルトなど多くの発酵食品のプロセスは乳酸菌によって行われているように、菌類が酵素を作り出し、発酵や腐敗をもたらしていることが多く見られます。
そのため、発酵食品の質を高めるために、質の良い菌類を培養して利用することが多く行われています。

有害な菌が食品に繁殖してしまうと、食中毒の原因となりますので、こちらは細菌を殺すという作業が必要となります。
そのため、有害な菌が付着していることが多い肉類などは、しっかりと過熱する必要があるのです。
また、高温多湿の環境で有害な菌が繁殖しやすいという特性がありますので、冷蔵庫で食品を保存するなどして、徹底した温度の管理をすることもとても重要なのです。